2003年9月アーカイブ
今夜は、横須賀でディナーの仕事でした。いろんな場所へ出張しましたが、横浜、鎌倉、逗子までいくのですがなかなかその先の横須賀にたどりつけなくて、何だか地元の壁の厚さ等勝手に感じたりしてました。719件目にして横須賀に着きました。何だか緊張しまくりました。まさにデビュー戦の事思い出してました。いつも通りに創り皆さんに特筆お伝えする料理の件ではないのですが、この勢いをかりて ご無沙汰の実家に帰ってみようかと思ってます。改めていつも協力し応援して下さる皆さんに感謝です。さて小言聞きに帰ってみます。
実家はやはり手厳しい。一通り小言を適当に流し、居間のソファで就寝。今日は誰もいないはずなので部屋で海でも眺めながら歴史の本等読みあさろうかと思っていたが朝から天草煮たりして寒天作りに借り出され昼寝してたら「お昼何作ってくれんの?」しまいに幼馴染みやら近所のおばちゃんやら呼び出す始末。冷蔵庫にあるもので出きるよね シェフなんだからと釘もしっかりさされ、台所で標本の昆虫になってました。でてきたのは玉葱、南瓜、卵、乾燥椎茸、にんにく、白胡麻後土産に持って来た自家製のベーコンさてさてどうする?ある意味 最大のピンチ!
正確な暦で言うと今夜決して必ず満月ではないらしい。よく小さい頃すすきを取りに行った。そして夕飯後が待ちどおしくてさ。何が?ってそりゃあ十五夜団子!実は小さい頃あんこが嫌いでして、おはぎ、御汁粉、なんて物はとんと駄目でした。小学校にあがった頃十五夜の晩ピラミッド状に積み上げられてるのをじっと眺めていたら、月の力なんなのか?子供ながらにいつものおはぎや饅什と違うぞ?小さいし表面もつるっとしていて餅のような?手がのびていました。なんと美味なっ!しっとりした中のこし餡。以来病み付きになってました。
ピラミッド状に窓際にお供えするのですが、待ちきれず窓側のをこっそりつまみ食いしたりして。ある時それを父親に見つかり怒られるかなと小さくなってたら、笑いながら話してくれました。昔は月見の供え物を近所の庭先から入ってつまみ食いしたそうです。竹の細いのを切って来て先を小刀で尖らせ、それで月見団子を刺してとったみたいです。(笑)そういう風習が日本どこでもあったそうです。二年生の時かなぁ 近所に引っ越してきた転校生がたまたま同じクラスで隣の席で、そうそう夏休みあけに来たんだよナァ仲良くなろうと話しかけててさ。
今夜は十五夜ですなんて先生が話してたからそいつに父親から聞いた話しをしたんだよね。そしたら ただの泥棒じゃんて言われてさ何だか腹がたって大喧嘩!子供なりに真剣な殴り合い(笑)家に帰って散々怒られて、その時初めてそいつが父親がいない事を聞かされてガキなりにへこんでたな。つまみ食いもしないでぼんやりしてたら、夜八時位に竹持ってそいつが妹とお母さんと庭先にやって来た!竹串の作り方を父親に教わりみんなで団子食べた思い出がある。以来十五夜のたんびあの夜を思いだす。そんな味のする十五夜団子です。
N.Zから帰って来て最初にした事がある。鮨屋に行った。日本食が恋しかった訳でもなく此時期ほんのわずかな間だけ顔を見せてくれるネタがある。この味を覚えてしまうと、食べないと夏と秋のケジメがつかない位。(笑)その名は新子。判りやすく言えばこはだの幼魚です。シンコからコハダ、ナカズミ最後にコノシロに成長していく。煮ても焼いてもくいようのない魚だが鮨種としては絶品!がしかしかなり鮨屋泣かせの小ささ締めすぎると値打ちがなくなるしとにかく技が必要な種。新子はさらに小さい為神経をすり減らすらしいかと言ってトロ並の値段は付けられないまさに職人の意地と誇りをかけた仕事なのだ。
この職人泣かせのほんの数日間しか登場しない新子を口にしたのは十一年前銀座新富寿司さん!毎年必ずこの時期は通っている。三代目が握る光り物はとても口あたりがいいのだ!しかし寡黙な人でその静寂の中でおとなしく食べるのが結構好きだったりして。でもでてくる鮨は雄弁。最近は光り物をきちんと仕事して出す店が少ないが光り物ダメな人でもいけると思う。コノシロはエスカベッシュに使うが 新子は自分の楽しみにとっておきたい。ほんの数日だけ秋を告げに来る魚です。